足首が痛い原因は仕事によって全部違った|板場は止まる、畑はひねる、トラックは偏る、いまはむくむ
朝、靴紐を結ぶときの足首の硬さで、前日の疲れを測っている。
板場、畑、トラック、いま。同じ関節なのに、痛め方は仕事ごとに全然違った。
朝、靴紐を結びながら、その日の足首の硬さで前日の疲れを測っている。
立ちっぱなしの日も、畑を歩いた日も、運転しかしていない日も、痛むのはいつも同じ関節だった。
ただ、痛め方だけは仕事によって毎回違っていた。
板場では、動かないことが負担だった
板場に立っていた頃、僕は一日のほとんどを同じ一坪ほどの範囲で過ごしていた。
歩き回る仕事ではなく、むしろ足を動かさないことのほうが仕事の姿勢だった。
ふくらはぎの筋肉は、歩くたびに血液を心臓へ押し戻すポンプの役目を持っている。
立ったまま動かないと、そのポンプがほとんど働かない。
閉店の頃には足首から下がだるく重くなっていて、冷たい水で洗うと少しだけ楽になった。
畑では、冷えと段差が敵だった
畑仕事は、逆に歩き回ることのほうが多かった。
ただ、足元は平らではない。
畝と畝の間の溝、掘り返した土の段差、朝露で滑る草の上。
気を抜くと足首だけがねじれて、体重が乗り遅れる瞬間があった。
大きく捻ったことは幸い一度もないが、小さくひねった感覚は何度も覚えている。
それに、朝いちばんの畑は足首から冷えてくる。
筋肉が硬いまま動かすとひねりやすいということも、あとになって知った。
トラックでは、右足だけが酷使されていた
長距離トラックに乗っていた頃、足首を使うのはほとんどアクセルとブレーキを踏む右足だけだった。
何時間も同じ角度で固定したまま、細かく上げ下げを繰り返す。
反対の左足は、ずっと同じ位置に置いたままだった。
休憩で車を降りると、右の足首だけが張っていることに気づく。
均等に使っているつもりの体でも、仕事の形によって偏りは容赦なく出る。
薄いサポーターで固定しておくだけで、その日の張り方がずいぶん違ったのを覚えている。
いまは、座って忘れることが多い
デスクワーク中心のいまは、足首を痛める場面そのものが減った。
それでも、気づけば足を組んだり、椅子の脚に足首を絡めたりしている。
夕方になると靴がきつく感じることがあり、動かしていないぶん、体液が下にたまっているのだと思う。
着圧ソックスを履くようになったのは、板場で覚えたポンプの理屈を、そのまま椅子の上で思い出したからだ。
足首は、仕事の形をいちばん正直に映していた
板場では止まりすぎて、畑ではひねりすぎて、トラックでは偏りすぎて、いまはむくみすぎている。
同じ関節なのに、負担のかかり方は仕事の数だけ違っていた。
足首は、体の中でいちばん小さな蝶番のような場所だと思う。
そこに立場ごとの癖がいちばん正直に出るという意味では、体の中でいちばん嘘をつけない場所なのかもしれない。
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