肩こりの原因は、仕事によって全部違った|板場は上げる、畑は担ぐ、トラックは固まる、いまはすくめる
デスクで肩を揉んでいる自分に気づく。
寿司屋・畑・トラック、仕事ごとに肩の使い方も壊し方もまるで違っていた。
キーボードを打ちながら、気づくと反対の手で肩をつかんでいる。
押しているわけでもなく、ただ揉んでいるだけなのだけれど、この癖はいつからだろうと考えたら、寿司屋にいた頃からもう肩は酷使していたはずだった。
ただ、揉む場所も、揉み方も、今とはまるで違っていた気がする。
板場では、上げっぱなしの肩がいちばん疲れた
刺身を引く動作は、力を入れるのは手首と指のほうで、肩そのものは本来そんなに動かなくていい仕事だった。
それでも新人の頃は違った。
まな板の高さが自分に合っていないと、無意識に肩が持ち上がる。
先輩からは「肩を下げろ、そこに力は要らない」と何度も言われた。
カウンター越しに客と話す姿勢も、実は肩を張らせていた。
背筋を伸ばそうとして胸を開くと、肩甲骨まで一緒に寄ってしまう。
いちばん先に売り切れるのは体力ではなく、無駄に力んだ肩のほうだった。
畑では、担ぐ角度が肩の左右差を作った
農業をしていた時期は、痛め方の種類がまるで違った。
収穫コンテナを担ぐ、噴霧器を肩掛けにする、鍬を振る。
どれも肩関節を大きく使う動きで、しかも利き肩ばかりに偏る。
気づけば右の肩だけがいつも張っていた。
荷を担ぐときに左右を意識して持ち替えるようになってから、張り方が均等になった。
肩当てパッドを入れるようになったのもこの頃で、痛みが出てから対処するより先に、当てておくほうが早いと知った。
トラックでは、ハンドルの持ち位置が肩を固めた
長距離を走る仕事に移ってからは、また別の肩と付き合うことになった。
ハンドルの上のほうを何時間も同じ位置で握り続けると、肩が上がったまま固まってくる。
荷台への積み下ろしで肩から担ぐ動作も加わって、休憩の頃にはもう回らなくなっていた。
休憩ごとに肩甲骨を大きく回すようにしてから、翌日の重さが変わった。
座席に座ったままできるという理由だけで、最初はストレッチポールを荷台に積んでいた。
今の仕事では、画面の高さが肩を決めている
デスクの前に座る時間がいちばん長くなった今、肩を決めているのは重さではなく画面の高さだった。
ノートパソコンをそのまま置くと画面が低く、首が前に出て、そのぶん肩が持ち上がる。
マウスを操作する側の肩も、気づけばすくめたままになっている。
画面を目の高さまで上げるスタンドを使うようになってから、肩に手が伸びる回数が減った。
道具を変えるだけで済む話を、ずいぶん遠回りして知ったことになる。
四つの仕事で、肩の壊し方はいつも別だった
板場は上げる、畑は担ぐ、トラックは固まる、今はすくめる。
同じ「肩がこる」でも、実際に痛めていた場所も、効いた対処もそれぞれ違った。
力を入れるべきでない場面で、なぜか肩にだけ力が入っている。
四つの仕事を通して変わらなかったのは、たぶんそこだけだった。
信号待ちで手が肩に伸びるのも、デスクで肩を揉んでしまうのも、まだその癖が抜けていないからだと思う。
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