運転する日の靴を、車の中で履き替えるようになった
長い距離を走る日は、踏む靴と歩く靴が別のものだと気づいた。
昔は横着だと思っていたことを、いまは自分がやっている。
長い距離を走った日の夕方、車を降りて靴を脱ぐと、足がひとまわり大きくなっている。
紐を緩めても戻らない日があって、そういう日はだいたい途中で眠くなっていた。
いまは助手席の足元に、もう一足置いてある。
昔は、だらしないと思っていた
トラックに乗っていたころ、運転席の横にサンダルを置いている人が何人もいた。
停まるたびに履き替えている先輩もいて、当時の僕はそれを横着だと思っていた。
いま自分がやっている。
理由が分かったのは、ずっとあとになってからだ。
運転している足は、ほとんど動いていない。
同じ角度で踏んで、同じ姿勢のまま止まっている。
歩いているときのように血が押し戻されないから、夕方には靴の中がぱんぱんになる。
踏む靴と、歩く靴は別のものだった
ペダルを踏む靴に要るのは、底の薄さと、かかとの位置が分かることだと思う。
厚くて柔らかい靴だと、どれくらい踏んでいるのかが足の裏から返ってこない。
降りたあとに要るのは、その逆のもの。
脱ぎ履きが速いことと、締めつけないこと。
同じ一足で両方をやろうとして、どちらも中途半端になっていた。
置いておく一足は、たいしたものでなくていい。
僕もしばらくは、家で使っていた古いサンダルをそのまま積んでいた。
いま積んでいるもの
そのうち専用に買ったのは、かかとを起こしたり倒したりできるタイプだった。
手洗いに寄るだけなら倒したまま、少し歩くなら起こす。
この切り替えが思ったより効いて、車から降りる回数そのものが増えた。
降りる回数が増えると、休憩の質が変わる。
座ったまま缶コーヒーを飲むのと、少し歩いてから飲むのとでは、そのあとの一時間がまるで違う。
足元の話をしているつもりが、いつのまにか休み方の話になっていた。
道具を替えると行動が変わって、行動が変わると体のほうも変わる。
順番はたぶん、そっちが正しいのだと思う。
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