日が落ちたら、ランタンはいちばん暗くする
明るい道具を探していたはずが、いまは暗さを作るために使っている。
夜の明かりの話を少しだけ。
夜のキャンプ場で、いちばん明るいサイトの人は、たいてい落ち着かなそうにしている。
虫は集まるし、隣にも気を遣うし、何より自分の目が休まらない。
そう気づいてから、僕は暗くなるほどランタンの明るさを落としていくようになった。
最初は逆だった。
買ったばかりのころは、明るさの数字が大きいものほど良いのだと思っていた。
千ルーメンだの、何メートル先まで届くだの、そういう言葉に素直に反応していた。
明るさは、足りていれば十分だった
夜に実際やっていることといえば、湯を沸かして、本を少し読んで、片づけて寝るくらいだ。
手元が見えれば足りる。
煌々と照らす必要があったのは、落とし物を探したときくらいだった。
明るすぎると、その外側が真っ暗に見える。
焚き火の向こうの木も、頭の上の星も、光の壁の外に消えてしまう。
明かりを落とすと、見えるものが増える。
妙な話だけれど、何度やっても同じだった。
色を変えると、夜そのものが変わる
白い光は作業向きで、目が冴える。
オレンジに寄せた光は、それだけで肩の力が抜ける。
同じ場所、同じ時間なのに、色を変えるだけで夜の質が変わるのが面白い。
家でも同じことをするようになった。
寝る一時間前に天井の照明を消して、手元の小さい灯りだけにする。
寝つきが良くなった気がするし、少なくとも夜がゆっくり進むようになった。
選ぶとき、最大の明るさは見なくなった
見るのは、どこまで暗くできるかのほうだ。
段階が三つしかないものより、無段階で絞れるもののほうが、僕には合っていた。
色を暖かいほうへ振れると、なお良い。
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夜を明るくするための道具のつもりで買ったのに、いまは暗さを作るために使っている。
道具の使い道は、買った本人が後から決めていいのだと思う。


