外で飲むコーヒーだけは、手を抜きたくなくなる
家ではボタンひとつで済ませるのに、外に出ると豆を挽くところから始めたくなる。
その遠回りな時間が、僕はけっこう好きだ。
朝いちばん、まだ誰も起きていないテントの外で、湯を沸かすところから一日が始まる。
キャンプに行くと、僕はなぜかコーヒーだけは手を抜きたくなくなる。
家では正直、ボタンひとつのマシンで済ませている。
それが外に出た途端、わざわざ豆を持って行って、手で挽いて、湯を細く注いで、と手間を増やしにいく。
不思議なものだと自分でも思う。
手で挽く時間は、何かを整える時間でもある
ミルのハンドルを回すと、ゴリゴリという音と一緒に豆の香りがふわっと立ちのぼる。
この一分か二分が、僕はけっこう好きだ。
まだ半分眠っている頭が、その音と香りでゆっくり起きていく。
便利さで言えば、電動ミルにも粉のドリップパックにもかなわない。
でも外にいるときくらいは、少し遠回りな道具を選びたくなる。
効率のためじゃなく、その時間そのものを味わうために。
道具は、少ないほど豊かに感じることがある
車に積むものはできるだけ減らしたいから、コーヒーまわりも最小限にしている。
手挽きのミルがひとつ、紙のいらないドリッパーがひとつ。
それだけあれば、どこでも一杯淹れられる。
道具を減らすと、ひとつひとつと向き合う時間が増える気がする。
たくさん持っているより、お気に入りを長く使うほうが、僕には合っているみたいだ。
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次に外で淹れるのはいつになるだろう。
そんなことを考えながら、今朝も一杯目をゆっくり飲んでいる。


