ひとつで何役もこなす道具より、役割の決まった道具が好きだ
多機能で便利な道具ほど、気づくと使わなくなっている。
一つの仕事だけをまっすぐこなす道具が、結局いちばん長く手元に残る、という話。
道具を選ぶとき、つい「これ一つで何役もこなせる」という言葉に惹かれる。
荷物が減りそうだし、賢い買い物をした気になる。
でも家に帰って何年か経つと、いちばん出番が多いのは、たいてい一つの仕事しかできない地味な道具のほうだった。
兼用は、どこかで我慢している
何役もこなす道具は、そのぶんどの役もほどほどになりがちだ。
栓抜きにもなるし缶切りにもなる、けれど本職の栓抜きほどは気持ちよく開かない。
普段は気づかない。
ただ、毎日のように使う場面では、その「ほどほど」の小さなストレスが、じわじわ効いてくる。
結局、本職の道具を別に買い直して、兼用のほうは引き出しの奥へ、というのを僕は何度もやっている。
役割がはっきりしている道具は、迷わせない
一つの仕事しかできない道具には、迷いがない。
それを手に取った時点で、やることが決まっている。
包丁は切るためのもの。
やかんは湯を沸かすためのもの。
その潔さが心地いいし、壊れても直しやすいし、次に選ぶときも「同じ役割の、もう少しいいもの」と考えればいいだけだ。
減らすより、選び抜く
物を減らすというと、とにかく数を絞る話になりがちだ。
でも僕がやりたいのは、数を減らすことそのものより、一つひとつの役割をはっきりさせることのほうだと思う。
役割の決まった道具を、少しだけ良いもので揃える。
そうすると不思議と、余計な物が自然に減っていく。
兼用でごまかしていた仕事が、それぞれの本職に返っていくからだ。
キャンプ道具でも、同じことをやり直した
この話は、キャンプ道具を見直したときに一番実感した。
テーブルと調理台を兼ねたつもりの折りたたみ台をやめて、調理専用のテーブルに替えた。
お湯はケトルだけで沸かし、焚き火は焚き火台だけの仕事にした。
それぞれの役割を一つに絞ってから、道具箱の中身がすっきりした。
いま実際に使っているものを置いておく。