去年の灯油は使わない|色が変わっていなくても消火不良は起きる。保管は暗所、残ったら自治体へ
ポリタンクに去年の灯油が残っている。
色は変わっていないから、今年も使えそうに見える。
でもNITEの調査では、色が変わっていなくても、ストーブが消えなくなることがあった。
去年の灯油が、ポリタンクに半分残っている。
もったいないから、今年のストーブに入れてしまおうかと思う人は多いと思う。
先に答えを書いておく。
公的な資料はどれも、昨シーズンの灯油は使わないほうに寄っている。
しかも、色が変わっていなくても、変質した灯油でストーブが消えなくなることがある。
色が変わっていなくても、変質していることがある
NITE(製品評価技術基盤機構)は、2014年3月に変質した灯油による石油ストーブ事故の注意喚起を出している。
そこには、これまで変質の程度は色やにおいで判別できるとされてきたけれど、NITEの調査では、色の変化がない灯油でもストーブに消火不良を起こさせる場合があった、と書いてある。
変質には、日光と空気が著しく影響することも分かったという。
数字もある。
平成20年度から24年度までの5年間に、NITEに通知された「変質灯油が原因と推定される消火不良」の事故情報は8件。
内訳は、発火が1件、消火不良が7件。
ただし、消火不良になっても被害が広がらず、NITEに通知されなかったものも含めれば、変質灯油による問題は相当数起きていると推定されるそうだ。
板場の世界では、素材は目と鼻で見るものだ。
魚は色と匂いで、だいたい分かる。
灯油は、その癖が通用しない燃料なのだと、この資料を読んで思った。
ここは僕の受け取り方だけれど、「色がきれいだから大丈夫」という判断が、いちばん危ない。
変質した灯油が、ストーブの中で何をするか
2015年3月のNITEの注意喚起によると、変質灯油を芯式の石油ストーブで使うと、灯油が芯に固着して、芯が下がらなくなり、消火ができなくなることがある。
この状態でストーブが倒れると、対震自動消火装置が働いても消えず、燃焼が続くおそれがある、と書かれている。
2024年11月のNITEのメールマガジンは、もう少し短い。
灯油は劣化するため、昨シーズンの燃料を持ち越して使うと、異常燃焼や多量の一酸化炭素が排出されるおそれがある。
だから新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油は使わないようにしましょう、という書き方だ。
京都市の危険物Q&Aも同じ向きで、灯油は長期に保存することで性状が変質し、異常燃焼を起こしたり、故障の原因になったりすることがあるので使用しないでください、と答えている。
機器の取扱説明書も確認するように、と添えてある。
保管で気をつけること|日光と空気を避ける
NITEの2015年の注意喚起から、保管のところだけ拾う。
- 灯油は、灯油専用のポリタンクで保管する。蓋はしっかり締める
- 日光の影響を避けるため、必ず暗所に置く
- ポリタンク自体も紫外線で劣化する。色あせやひび割れがあるものは、買い替えをすすめる
- 日本ポリエチレンブロー製品工業会は、製造後5年を経過したポリタンクの取り替えを推奨している
2024年のメールマガジンは、誤給油にも触れている。
灯油は灯油用のポリタンク、ガソリンは消防法に適合した金属製の携行缶に入れて、別の場所で保管する。
ラベル表示などで区別して、誤って給油しないようにしましょう、という注意だ。
ガソリンが少量混ざっただけでも、火災のおそれがあるとある。
灯油用のポリタンクは、赤や水色などの樹脂製で、日本ポリエチレンブロー製品工業会の推奨ラベルや、危険物保安技術協会の試験確認済証、JISマーク(JIS K 1710)などが表示されている、とメールマガジンにある。
買い替えるなら、このあたりの表示を見ておけばいい。
車で運ぶときの話は、別に書いた
ポリタンクを車に積むときの話は、くらしラボのほうに書いた。
三つ積んで倒れて60リットルが流れた事故と、その原因の整理だ。
雪の日に車の中で暖を取るときの一酸化炭素の話も、別の記事にしてある。
去年の灯油が残ってしまったときは
NITEは、現在使用中の灯油は、今シーズン中に使い切るようにしてください、とも書いている。
色がついていない変質灯油は見分けるのが難しいので、事故を防ぐ観点からの目安だ。
それでも残ることはある。
その場合、家庭で流したり、土にまいたりしないほうがいい。
京都市は、移動式拠点回収事業として古い灯油などの回収を行っている。
それ以外の地域は、お住まいの自治体の案内を見るか、灯油を買った店に問い合わせてほしい。
買い足すときは、シーズン中に使い切れる量にしておく。
これは、資料から僕が引き出した、いちばん地味な対策だ。
ポリタンクを満タンにしないほうがいい、という話もある。
NITEのメールマガジンの中の別のコラムに、自分で給油するときは、容器が膨らまないよう、上から1割くらい空けて入れるとよい、という趣旨の一文があった。
ここまでのまとめ
- 色が変わっていなくても、変質していることがある。目と鼻で判断しない
- 変質灯油は、芯式ストーブの消火不良や異常燃焼のもとになる
- 灯油は専用のポリタンクで、蓋を締めて、暗所に置く
- ガソリンと灯油は、容器も置き場所も分ける
- 去年の灯油は使わない。残ったら、自治体か購入先に相談する
寒くなってくると、先にストーブを出して、灯油のことは後回しにしてしまう。
順番は、灯油の確認が先だと思う。